愛される星
「お願いだから、よく考えて」

そう言った女の後方に、林檎の袋を落として呆然とするしぃちゃんの姿を見つけた。



「あの日の椎菜の誤解を、どうしてきちんと解けなかったのか…」


そう言って石垣さんが下を向いた。

今、私と勇輔の隣にいる石垣さんは、あの日からずっとさ迷ってきた石垣さんだ。


しぃちゃんの、悲しい顔がずっと頭から離れないと言った。


それから石垣さんは、しぃちゃんを探して歩き回ったけれど、しぃちゃんの姿は夜の雨に紛れてしまった。
電話も何度も何度もかけ、一度だけ通じたけれど、すぐにプツっと切れてしまいそれっきり。



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