愛される星
あの日、凌を失ったんじゃなくて、自分の心を失ったんだ。
それは自分の気持ちを確かめるための旅だった。
『人はその姿が消えて初めて愛される』
そう思っていた。
けれど、その考えは海に捨てた。
消えてしまう前に、愛される事がわかったから。
間違った道ばかりを歩いてきたなんて思っていたけれど、その間違いは、間違いじゃなかった。
擦れてばかりいた過去も、冷めていた過去も、凌と出会い愛した事も、凌の手を振りほどいた事も、現実から逃げ出した事も、希幸を授かった事も、間違いだらけの正解だった。