愛される星

何にも知らずに付き合っていた。


彼には妻子がいたのだ。


やられた、と思った。


電話口では奥さんが怒鳴る。
「あんた、殺してやる」


電話を切ると、真夜中というのに鬼の形相で奥さんが乗り込んできた。


「この、泥棒!ずっと半年間あんたと旦那をつけてたんだ。殺してやる!殺してやる!」


「ちょっと待ちなよ。」


奥さんの怒鳴りを止めたのは、私のお母ちゃんだった。


「さっきから黙って聞いてりゃ、あんた、被害者ヅラしやがって。」


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