愛される星
横から茶化すママを押しよけて、バンドに合図を促して、ステージに向かった。
さて今夜はどんな歌を唄おうかな。
「しぃちゃんたら、石垣さんが来た途端、いつもより声がでかくなっちゃってまぁ〜」
そんな事をまだ彼に吹き込むママをギロっと睨んで、一つ咳をして、マイクを見つめた。
「しぃちゃん、アレやろう。伴奏始めたら、そっから先はしぃちゃんがリードしてくれよな」
ドラムのまっちゃんがそう耳元で告げた。
孫がいても、元気なまっちゃん。
私はニカッと笑い、何の曲だろうと胸を弾ませた。