ゆびきり
大切な女 -side 慶太-
ある日の昼休み。
淳の一言から始まった、葉子の思い出話。
それを聞いて、俺はようやくわかった。
思い出した。
葉子の言う"慶ちゃん"は、本当に俺だったんだ。
うそだろ、信じらんねーよ。
10年も探し続けてた女の子が、こんなに近くにいたなんて。
なんで忘れてた?
そうだよ、俺"葉ちゃん"って呼んでたじゃねーか。
何度も何度も。
傍にいたくて、愛しくて。
俺は、葉子の話に驚きを隠せずにいた。
葵が何か怒って走っていくのを見ても、どうすることもなくその場を動けずにいた。