ゆびきり



葉子の"慶ちゃん"が俺だとわかったあの日から、葉子と葵は一緒に過ごさなくなった。



あの日、教室を走って出ていった葵。


そのすぐ後を追いかけていった葉子。


2人は別々に戻ってきて、一言もしゃべらずに帰っていった。


それからはずっとこの状態だ。



何があったんだ?

あんなに仲よかったのに。



ダメだ。

あの時葵が何を叫んで出ていったのか、全然思い出せねー。



「葵、なんで最近葉子といないの?」


あの日以来、さらに俺にべったりな葵に聞いてみた。


もちろん優等生キャラは外さない。

でも葉子に本性がバレてからは、作ることに疲れを感じていた。


「んー?」


葵はそう言って、俺の腕に自分の腕を絡める。


「慶太は気にしなくていいよ」


葵はにっこり笑ってそう言った。



いいわけねーだろ。


葉子は、俺の大事な…





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