ゆびきり
俺はもう一度、扉に手をかけた。
「…っ、…っく」
扉の向こうで、葉子の声がした。
葉子、泣いてるのか…?
俺は、扉の前で一人、立ち尽くしていた。
開けることなんてできなかった。
俺のせい、だよな。
きっと葵は、自分よりも俺と楽しそうに話す葉子が、気に食わなかったんだ。
本当は、気づいてたんじゃないのか?
葵が、たまに葉子に向ける冷たい視線に。
でも怖くて、気づかないふりしてたんだろ?
俺、最低だ。
俺の中途半端な態度が、葵も葉子も傷つけたんだ。