ゆびきり



そのまま、淳と葉子が一緒に教室を出るのを、俺は黙って見ていた。



葉子が、淳を選んだらそれはそれで仕方ないだろ?

俺が横やり入れても意味がない。


葉子が結論を出すのを待とう。



俺はそう思いながら、部活へ向かった。















やっぱ無理!!



次の瞬間、俺は全速力で走り出していた。



たとえ葉子の気持ちが淳に向いてたとしても、このまま事実も想いも伝えないまま終わるなんて、俺にはできねー。



葉子、俺が好きなのはお前なんだ。


ずっと探してた。

名前を忘れてしまっても、幼い恋心とあの日の消失感だけは拭い去ることができなかった。


でもそれ以上に、初めて出会ったと思ってたお前は、俺に安らぎを与えてくれた。

俺は"俺"でいられた。



俺にはお前が必要なんだよ。




どこだ。




葉子。





会いたい。






今すぐに、会いたい。













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