ゆびきり
「これ、俺のだから」
俺は腕の中に葉子を抱え、目の前の大事な友達にそう言い放った。
わりーな淳、やっぱ葉子だけは譲れねー。
淳が俺の名前を呼んでた気がするけど、俺は構わず葉子を連れ出した。
「ちょっと、説明してよ!!意味わかんないんだけど!告白中にいきなり割って入ってきて、訳わかんない台詞吐いて、さっさと出てきたりして」
少し歩いたところで葉子は、俺の手を振り払って叫んだ。
まあ普通は怒るよな。
「なにお前。淳がいいの?」
俺の口をついて出たのはこんな一言だった。
おい俺、違うだろ。
そんなことが言いたくて、追いかけてきたんじゃないだろ?
俺は、真実をありのまま話した。
葉子の表情が、目に見えて変わっていく。
でもそれがただの驚きなのか、喜びなのか、はたまた怒りなのか、俺にはわからなかった。
「葉子。お前のことが、好きなんだ」