ゆびきり



「これ、俺のだから」



俺は腕の中に葉子を抱え、目の前の大事な友達にそう言い放った。


わりーな淳、やっぱ葉子だけは譲れねー。


淳が俺の名前を呼んでた気がするけど、俺は構わず葉子を連れ出した。






「ちょっと、説明してよ!!意味わかんないんだけど!告白中にいきなり割って入ってきて、訳わかんない台詞吐いて、さっさと出てきたりして」


少し歩いたところで葉子は、俺の手を振り払って叫んだ。


まあ普通は怒るよな。


「なにお前。淳がいいの?」

俺の口をついて出たのはこんな一言だった。


おい俺、違うだろ。

そんなことが言いたくて、追いかけてきたんじゃないだろ?



俺は、真実をありのまま話した。

葉子の表情が、目に見えて変わっていく。


でもそれがただの驚きなのか、喜びなのか、はたまた怒りなのか、俺にはわからなかった。




「葉子。お前のことが、好きなんだ」







< 112 / 117 >

この作品をシェア

pagetop