ゆびきり
「名前は山下慶太。部活はサッカーです。まぁ、仲良くしてやって?特に可愛い女子募集中かな」
俺が明るく自己紹介すると、教室内からも笑顔が向けられた。
ほら、演じてた方がよく思われるじゃねーか。
その時だった。
「慶ちゃん!?」
教室の端の列の女子がいきなり立ち上がり、そう叫んだ。
はあ!?慶ちゃん!?
それ俺のこと?
冗談じゃねーよ。
今までそんな風に呼ばれたことねーし。
人違いしてんじゃねーよ。
「なんだ?お前ら知り合いか?」
「まさか」
あ、今の言い方は少し冷たかったかな。
ちょっと本音まじりの声だったな。
俺がそう言った後、その女子は謝りながら静かに席に着いた。