ゆびきり
複雑な気持ち
あたしが席に戻ってくると、顔を輝かせた葵が、あたしを待っていた。
「葉子、山下くんと知り合いなの!?」
いきなり何かと思ったら。
知り合い?
どうなんだろ。
いや、絶対違うよね。
山下くんは慶ちゃんじゃなかったわけだし。
「違うよ。あたしの勘違い」
あたしは笑ってそう返した。
本当はちょっと寂しいけどね。
「なんだ~。山下くんと仲良くなれるチャンスだと思ったのに。それにしても山下くん、カッコいいよね~」
へー、葵ってけっこうミーハーなんだ。
あたしはカッコいいっていうより、笑顔が爽やかっていう印象しかないんだけど。
でもちょっとだけ、違和感を感じてしまうのは、あたしだけかな。