ゆびきり
「葉子葉子葉子ー!!」
翌日の朝、教室に入ったあたしに、葵は超ハイテンションで飛びついてきた。
今度は何!?
あたしが訳もわからず困惑していると、
「慶太と付き合うことになっちゃった!」
さすがにそこは大声では言わず、あたしの耳元で囁いた。
「は!?」
え、葵もう告ったの!?
確かに決意は聞いたけど、まさか昨日の今日とは。
あたしがあっけにとらわれていると、
「葵、おはよう」
後ろから話題現在進行形のその人が現れた。
「慶太!!」
葵は顔を赤くしながらも、山下くんの元へ駆け寄り、可愛らしく、おはよう、と挨拶をした。
「桶川さんも。おはよう」
「お、おはよう」
あたしはまだ、事の変わりの速さについていけていなかった。
でも、
「葵をよろしくね」
それだけは言うことができた。
山下くんは、笑顔でありがとうとだけ言うと、自分の席へ歩いていった。
はぁ。
葵、やっぱりすごいなぁ。
決めたら即行動!なんだね。
ホント、羨ましいよ。