ゆびきり





「ねえ、どうして無理して笑うの?」











俺は、言葉を失ったどころかいつもの笑顔さえ、忘れていた。



なんでわかったんだよ。



確かに俺は、「山下慶太」を演じてる。


この笑顔も作ってるんだろう。



でも、今まで誰にもバレたことなかった。


誰もそんなこと聞かなかった。



なのに…どうして?




表情を崩してしまった今、後戻りはできないことに、


俺は、気づいていた。





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