ゆびきり
話しかけてきてくれた女の子は、加藤葵ちゃん。
この春引っ越してきたらしく、まだ友達がいないらしい。
「うちのことは"葵"って呼んでいいよ!」
明るくて可愛い子だなあ。
ちょっと羨ましい。
あたしはこんな風に自分から話しかけたりできないから。
「あ、あたし桶川葉子。あたしも呼び捨てでいいよ」
「わかった!」
あたしたちはすぐに仲良くなった。
まるで小さい頃から知ってたみたいに。
ちょっと内気なあたしにとって、外交的な葵は憧れであり、惹かれる存在だった。