ゆびきり



「…なんで?」


俺は"俺"に、完全に戻ってしまった。


表情も声のトーンも、まるで別人だ。



「えと、なんで…かな」


自分から言い出しておいて、彼女はこんなことを言う。



ホント、桶川葉子ってわかんねーわ。



「っ、はあ~。嘘だろ。意味わかんね~」


俺は、持っていたシャーペンを投げ捨てて言った。



なんでだよ。

俺完璧だったよな?


アホなミスは断じてしてない。



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