ゆびきり
「葵だって、優等生の俺が好きなんだろ」
どうせそうに決まってる。
こいつはなぜか性格の悪い俺に興味津々みたいだが、ただの好奇心にすぎないんだ。
「お前、このこと絶対言うなよ?」
俺は桶川葉子を指差して言った。
俺が本当はこんな性格悪い奴だなんて葵にでもバレたら、俺は嫌われる。
いつの間にか俺は、本当の自分を見せるのが怖くなってしまっていた。
「いいよ。その変わり、『慶太くん』って呼んでいい?」
「は?なんで突然?」
ホントに意味わからん。
今まではよそよそしく『山下くん』だったじゃねーか。
しかも彼女は、その方が合ってるから、とか言う。
なんか俺、振り回されてね?