ゆびきり
あれは、あたしが引っ越す前日のこと。
その日もあたしは川原に行って、慶ちゃんと遊んでた。
毎日一緒に遊んでたから、あたしたちはお互い『慶ちゃん』『葉ちゃん』って呼び合う仲だった。
季節は春で、辺り一面シロツメクサが咲いてて。
あたしはそのシロツメクサを一輪取って、指輪を作った。
「慶ちゃん、これあげる!」
あたしは上手にできたのが嬉しくて、慶ちゃんの指にそれをはめてあげたんだっけ。
でも、慶ちゃんにはその指輪は大きすぎたんだよね。
それなのに慶ちゃんは、すげー!って喜んでくれた。
「どうやって作んの!?」
あたしはちょっと自慢気に慶ちゃんに作り方を教えてあげた。
慶ちゃんは出来上がった指輪をあたしに差し出して、
「じゃあ、これ葉ちゃんにやるよ!交換な!」
そう言ってあたしの指にはめてくれたの。