ゆびきり
「へえ、可愛い話だね」
あたしが話し終えると、友哉くんが最初に口を開いた。
「で、その相手が慶だと思ったんだ?」
友哉くんは、ははって笑った。
まあそりゃ、同姓同名だし。
ずっと探してたんだもん、勘違いするし、期待もするよ。
「今もその約束、信じてるの?」
淳くんが少し真剣にそう聞いてきた。
あたしは、まさかって笑って否定した。
でも、ホントはちょっとだけ、期待してる。
そんなこと言ったら絶対笑われるから言わないけど、
慶ちゃんなら覚えててくれるんじゃないかって、
思う心を消し去ることができないの。
自己紹介したら、久しぶりって、あの時と同じ笑顔を向けてくれるのを、
ずっと夢見てるんだよ。
淳くんも友哉くんも、だよな~!って笑った。
慶太くんは、いつもの作り笑顔が消えていた。