ゆびきり
「誰のせいだよ、誰の」
あたしは強がって、嫌みっぽく言ってやった。
ホントは気持ちを全部伝えて、泣いてしまいたい。
でもそんなの、慶太くんを困らせるだけ。
それにあたし、やっぱり葵が一番大事。
これ以上、嫌われたくない。
だから、この気持ちに蓋をするよ。
「慶太くんが葵を大事にしないからだよ。だからほら、さっさと戻った戻った!」
あたしはそうまくし立てて、慶太くんの背中を押して慶太くんを校舎の中に追いやった。
「ちょっ…」
慶太くんが何か言おうとしたけど、あたしはバタンと扉を閉め、鍵をかけた。
そのまま振り返り、扉に背をつけたままズルズルとしゃがみこんだ。
「…っ、…っく」
あたしはその場で泣き出した。
ごめんね。
あたしは、こうやって強がることしかできないんだ。
そうして、葵がいつかあたしを許してくれるまで待つしか…