ゆびきり
「とりあえず、座って?」
部屋の入り口で立ち尽くす葵に、あたしはそう言った。
葵はコクンとうなずき、しずしずと中に入ってベッドの側にペタンと座った。
「あのね、どうしても葉子に話したいことがあって。学校行ったら休みだって言うから、うちも早退してきたの」
いつもの明るい葵とは違って、俯き加減にそう言った。
嬉しい。
葵が何を言いに来たかはわかんない。
でも、こうやって葵から話しに来てくれたことが、何よりも嬉しいよ。
もう話せないと思ってたから。
やっぱり葵と話したい。
一緒に笑っていたいよ。
「「ごめん!!」」
あたしたち2人は同時に叫んでいた。
「え、なんで!?」
「だって慶太くんと仲良くしてたから…。そりゃ葵怒るよね」
あたしは、泣きそうになりながらそう言った。