ゆびきり
「ううん。謝るのはうちなんだ」
葵は、あたしよりも泣きそうな声でそう言った。
「うちね、昨日慶太に振られたの」
葵の目には涙が溜まっていた。
え!?
慶太くんが葵を振ったってこと!?
そんなのおかしいよ。
何かの間違いじゃないの?
「他に好きな子がいるって」
嘘。
慶太くんが葵以外の人を好きになるなんて…。
「でも振られてわかったの。慶太を失いたくなくて、葉子の手を離したうちが間違ってたんだって。こんな最低な奴、振られて当然だったんだよ」
そんなことないよ。
彼氏が他の子と仲良くしてたら、誰でもそう思うよ。
「ごめんね、葉子。うち、一番大切なものが何なのか、全然わかってなかった。葉子の手だけは離しちゃいけなかったのに」
葵は、さっきよりも大粒の涙を流して言った。
「また葉子の隣、歩いてもいいかなあ?」