ゆびきり






その時だった。














「これ、俺のだから」





あたしは腕を引っ張られ、誰かに抱き止められた。


あたしの斜め上間近にあった顔を見上げる。




「慶!?」


あたしより先に叫んだのは、淳くんだった。



慶太くん!?


なんでここにいるの!?

っていうか今の台詞何!!?

しかも今"俺"って…



あたしの頭の上は、"?"でいっぱいだった。



慶太くん、息切れしてる。

そんなに急いで来たのかな。


体育の時間だってこんな姿、見たことないのに。



淳くんはぽかんと口を開けて、あっけに取られてる。


もちろんあたしだって、何が起きてるかさっぱりなんだけど…。




「じゃ、そういうことだから」


慶太くんはそれだけ言うと、あたしの腕を引っ張って公園を出て行った。








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