ゆびきり
「ああ違う。そうじゃなくて…」
慶太くんは頭をかいて、言葉につまった。
「…昔、仲のよかった女の子がいたんだ。毎日一緒に遊ぶうちに、この子の傍にいたい、この子を守ってやりたい、って思うようになってた」
慶太くんはいきなり、脈絡のない話を始めた。
あたしは、ただ黙って聞いているしかなかった。
「だから約束したんだ。『大きくなったら結婚しよう』って。そして、ゆびきりをした」
え、それって…
でも、まさか…
「でも翌日、その子は姿を現さなかった。それ以来その子に会ってない、と思ってた。お前の話を聞くまでは」
慶太くんはまっすぐにあたしを見つめていた。
うそ…
じゃあ本当に、慶太くんは…
「お前の"慶ちゃん"は俺だよ」
あたしは驚きで言葉が出なかった。
だって、最初に違うって言ったじゃない。
性格だって、全然…