ゆびきり
「葉子。お前のことが、好きなんだ」
慶太くん、否、慶ちゃんは優しく笑ってそう言った。
あたしの目からは、大粒の涙が溢れていた。
ずっと探してた、思い出の"慶ちゃん"。
本当はもう、諦めかけていた。
そして、それ以上にあたしの中で想いが膨らんでいた"慶太くん"。
でもその笑顔も手も、あたしには手の届かないものだと思ってた。
両方とも、心の奥底にしまっておこうって決めてた。
でも本当は、辛かった。
苦しかった。
わかってるのに求めてしまう自分が、すごく嫌だったんだよ。
「もう、あのゆびきりは、続いてない?」