ゆびきり
あたしは声も出せずに、ただ首を横に振った。
続いてるよ。
続いてるに決まってるじゃん。
ずっと、姿の見えない慶ちゃんに、問い続けてた。
『あのゆびきりは、なかったことになっちゃうの?』って。
何度も何度も、親を恨んだ。
もう少し早く、引っ越すこと教えてくれたらよかったのに、って。
本当は、会おうと思えば会えたのかもしれない。
探そうと思えば探せたのかもしれない。
でも、怖かった。
もし苦労して探し出した挙げ句に、覚えてないって言われでもしたらどうしよう。
冗談やめてくれよって冷たくあしらわれたら、もう立ち直れないかもしれない。
そう思ったら、自分から一歩踏み出すことなんてできなかった。