初恋愛 ~ブルーグレーの瞳~
今度は、ドアをノックする音が聞こえ、私が
『どうぞ』と返事をすると、ゆっくりとドアが開いた。

その人は、後ろからついて来ていた数人に手の平を向けて静止させ、
ドアを閉めて一人で中に入って来た。


健ほどではないが、スラリとした長身で、
いかにも高そうな、
仕立ての良い濃紺のスーツを着こなし、左腕にカシミヤと思われるこれまた高そうな黒のコートを掛けていた。

動き一つ一つに、品の良さが滲み出ていた。

髪はナチュラルウェーブで紫色を放ち、
色白で目鼻立ちがクッキリしていて整った顔の瞳はブルーグレー…。

この人、もしかして…
そう思った時

「アンタリア…」

驚きながらそう言ったのはお母さんだった。

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