初恋愛 ~ブルーグレーの瞳~
アンタリアと呼ばれたその人は、見開いた目をずっと向けているお母さんの横を懐かしさ一杯の瞳で、
『久しぶり』と言わんばかりにニッコリ微笑みながら通り過ぎ、ベッドの横まで来ると、

「凛…
会えて良かった。」

そう言った声は、低く落ち着いていたが、瞳は、嬉しさと愛おしさが溢れ出ていた。

私はお母さんの言動と、自分が余りにも似ていることで確信した。

「お父さん…?」

少し震える声で確かめるように言うと、アンタリアさんは微笑みながら静かに頷いた。

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