初恋愛 ～ブルーグレーの瞳～

お母さんは、『え！』と驚いていたが、握られた両手に視線を落とし

「…私達は、あの時に終わっているわ。」

その言葉に、ガックリと肩を落とすお父さんに

「でも…
人の心なんてどう変わるか分からないものよね。」

そう続けて悪戯っぽく微笑んでみせた。
するとお父さんの顔が見る見るうちに高揚して笑顔になり

「そ、それって、
まだチャンスがあるってこと？」

握っている手に力を込めて言うと、『さぁ～』とわざとらしくそっぽを向くが、口元が緩んでいるお母さんに、
『那智～！』とお父さんが抱き着いた。

「ちょっ、ちょっと！」
と慌ててもがいて摺り抜けたお母さんは、私の横に立ち、私の頭を撫でながら

「とにかく！
二人に会いに来て。
何時でも歓迎するわ。

お忍びは得意でしょ？」

そう言って、ニッコリ笑った。