初恋愛 ~ブルーグレーの瞳~
やっちゃんは、握られている手を振り解きながら

「ところで何で先輩は法学部なんですか?
法律関係目指してるんですか?」

そう聞くと、タクト先輩はニッと笑って

「そうだな~、仕事に法律の知識があったほいがいいからかな。」

その言葉にやっちゃんは怪訝な顔をして

「だから仕事って何ですか?先輩って何してるんですか?」

少し強い口調で聞くと
やっちゃんの顔を覗き込む様にニヤニヤして

「何々?俺の事そんなに知りたい?気になる?」

そう言うタクト先輩の様子は、まるでやっちゃんの周りを犬がキャンキャン尻尾を振って纏わり付いている様で笑える。

やっちゃんは溜め息をついて

「やっぱり知らなくていいです…。」

冷たく言うと、皆に『お先に失礼します。』と、軽く頭を下げて、保健室から出て行った。

その後を、タクト先輩が慌てて『待って~』と追い掛けて出て行く。


一気に静かになった保健室で、誰からともなくフッと笑みが零れた。

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