【短編】勝負下着の選び方

 九月にあった同窓会で再会した中学の時のクラスメイト。
 
 むかしの面影は確かにあったし、だから別にときめかなかった。
 
 むかし気があったわけでもなかったし。


 だけど、―――世の中なにが恋のスイッチを押すかわかったもんじゃない。


 祥子から、
「元原くん、なつきの髪形かわいいってさっきほめてたよ」
と聞いたときは嬉しかったけど
「へぇ……」としか思わなかった。


 そのあとの二次会で斜め前の席になった。


 あいづちは上手で聞き上手だった。
 爪の形がきれいだった。


 でも、(あっ、この人いいかも)って思ったのは別の理由。


 料理を、とってもおいしそうに食べていたから。


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