Joker
「他のひとには、お日さまを贈ればいいんじゃ」
「無理だな」
少年の提案を、男はあっさり却下する。
何故ならこの世界には、陽光などは存在しないのだから。
全てが闇に包まれた世界。
しかし蒼い月によって、僅かな明かりが施され、それ故闇は、さらにくっきり浮かび上がる。
「どうして」
「それは、私が光を求めないから」
本当に欲していないから、創れないのさ。
男の言葉は少年を、更なる混沌に導くのみ。
だって、解るはずない。
男は世界の創造主とでもいうのか。
だけど分かったこともある。