Joker
切札は夢人で


……少年が目を醒ますと。

朝だった。


冬の冷たい空気が肌をさすようで、ひんやり痛む。

まだはっきりしきらない頭で、奇妙な男を思い出す。


白い絨毯らしきモノに乗り、それから空を飛んだ。

そこまでは憶えている。

だけどいつ自宅に戻り眠ったのか、全く記憶がない。

ふとんにくるまっていても寒くて、暖房のスイッチを入れようと、少年は起きてついでにカーテンを開けた。


「あ、雪」


いつの間に降ったんだろう。

白の別世界。

きらきら光るまっさらなその色は、あの空翔ぶ絨毯を思い起こさせた。

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