Joker

いたけれど、奴は本物ではないと、少年はひとり確信する。


これはジョーカーの脱け殻。

写真みたいなもの。


きっと本当のあいつは、今もここではない世界で、変わらず笑ってるんだろう。


これは、……憶えてろ、ってこと?

少年は笑う、あの男の笑みを真似るかのように。


……上等じゃん。


たとえば誰かが、それは夢だと言うのなら。

少年はいつまでも夢を見る。


それがジョーカーの存在していた証。

少年が自分自身を信じられなくなる日まで、そのことは変わらない。


どちらにしろ。

蒼い月の答えをくれたのは、ジョーカーだ。

記憶は揺らいでも答えは色褪せない。

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