Joker
「ねぇ、だけどお兄さんは、本当の、くれるでしょ」
「どうしようかな」
ハッキリしない男にだんだん、少年は苛々してくる。
彼はもともと、忍耐強い方ではない。
「……お兄さん、出来ないんだ」
小さく言ったその言葉に、男はぴくっと反応した。
「私が出来ないわけ、ないじゃないか」
男は自信ありげに断言する。
じゃあさ、と少年は言う。
「僕に取ってよ」
男はやってやろうじゃないかと頷いた。
そして、ところで、と訊ねる。
「きみはどうして、お月さまが欲しいんだ?」