Joker

信用されていない、と、感じたらしい男は小さく肩を竦め、少年の双眸を片手で覆った。


「な、何!?」


突然の闇に少年は、男の手から逃れようと暴れだす。

だがしかし、いややはりと言うべきか、男の力には敵わない。


「放して」

「黙りなさい」


男の顔つきが、変わる。

右手でしるしを宙に示す。

そして、ひとには聞こえないくらい高い声で、唄った。


その音に応えるかのように、一瞬、空が、揺れた。


男は微笑む、成功だ、というように。

そして、少年の瞳を覆っていた左手を、ゆっくりとのけた。

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