Joker

「答えが欲しい?」


男は問う。

少年は引き込まれるかのように、こくりと頷いた。


「望みの多い奴だな」


くく、と男は可笑しげに幾度めかの笑い声を立て、ぱちん、と指を鳴らした。


すると、全てが闇に消える。

ふたりの影を、黒がおおう。


さっきまであんなに眩しかった光は、もうない。

何処に消えたのか、それさえも少年は分からぬまま。


「答えなんか、分かりきった話さ」

その闇に縁取られた少年の輪郭に向かって、男はぽつりと呟いた。

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