星月夜



「その人が、園里 彰―。私の彼氏」


今でもあの光景が忘れられない。


「私は夜鶴、という名前が嫌いだったの。」


何か、普通の名前じゃない気がして。


「でも、彰は私の自己紹介のときこう言われたの」


いまでも、一言一句忘れたためしはない。


私の名前を聞いて、少し笑った。


そのときは傷ついた。


初対面の人に失礼だ。


怒りを覚えたほど。


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