赤い糸。
遅れてきた男の子。
夢中に花火を見つめていた
わたしたち。
『もぉ花火なくなりそぉやなぁ』
と、終盤に差し掛かってきた頃
ふと。花火を打ち上げていた
川辺とは逆の石段の方に顔をやると
ぼやっと、男の人が。
『あれ?誰かおるでえ?』
『え?だれー?』
ゆきを含め
何人か、その男の人のところに
『ひさしぶりー』
って言いながら
駆け寄ってたけど
わたしは
『誰やっけ?』
なんて言いながら
今年から小学生の先生に就職した
なおと
線香花火に夢中になっていた。