アネモネの花
紘人はどんなに忙しくても、苦を感じさせている様子は無かった。


私が気付かなかっただけ、そうかもしれない。


だけど…

私にはむしろ、その日常そのものを楽しんでいるようにみえた。



そんな紘人が私は好きだった。


好き=“恋”とか“愛”

…そういうものではなくて。



もちろん、

――人として、好きだった。
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