アネモネの花
そして、全ての“きっかけ”とも言える出来事がやってくる。


紘人にはこれが“きっかけ”だなんて…

思ってもいないだろうし、この会話自体、今では覚えてなさそうだけれど。





ある夏の日――



「今度ねー、友達とライブ行くんだ!」


携帯電話の受話器の向こうの紘人に言う。

私にとっての初めてのライブ。

さらに好きなアーティストによるもの。


普段とは違い、サッカーとは全く縁のなさそうな会話。

傍から見たら、なにが違うのか全く分からないだろうけど。


とにかく、私のテンションは会話の最初から上がりっぱなしだった。
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