アネモネの花
私は大学時代、学校の友達とよく恋バナをしていた。


だけど、私にとってそれは数ある話題の中“一つ”にすぎなかった。

聞かれたら答えるけど、それは全体の一部分で。

逆に言うと、聞かれなければ話さない。



よく、“相談のるよ?”なんて言われるけど、なにから喋れば良いのか、なにを言ったら良いのか、相談して解決できるのかな?


そんなことが先へ先へと頭の中をかけめぐるから、ほとんど核心をついた話はしなかった。


――友達を、信じてないわけじゃない。


だけど、全部話してしまったら、実らない恋だ、諦めなよって否定されるんじゃないかって、もしかしたら心のどこかに、そんな気持ちが渦巻いていたのかもしれない。



そして、女の子は“恋バナ”が好き。

だから、聞きたがる…――。


こうも思っていた。

親身にも真剣にもならない人もいたから…

ただ聞きたいだけ。

私には、仲の良い友達“ごっこ”でもしているかのようにも見えた…



…そんな日常の中、
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