アネモネの花
『俺ね、今、怪我してんの。で、休日は仕事休みじゃん。だけど、怪我してるから試合に出れねぇし?だから、さなと遊ぼうかなーって思ってさ』


紘人に“安静”という文字は無いのかな…。

でも、“遊ぶ相手”として私を選んでくれた気持ちはちょっと嬉しい。



「えー。怪我してるなら遊べないじゃん。で…、今回もあるんでしょ?」


私は遠まわしに“あること”を聞く。

紘人はストレートに聞かないことを嫌うのを知っていながら。



『…なにが?』



なにが?ってとぼけておきながら、電話から僅かに笑い声がもれる。

紘人には私が、なんのことを言っているのか、すぐに分かったみたいだった。
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