アネモネの花
「えー!今週…?今週はちょっと…」


用事があると言った風に、私は終わりを濁す。


『なに?なんかあんの?』

「…………」



私は正直に言うべきかどうか、迷った。

――嘘はつけない性格だから、結果的には言ってしまうんだけど。



「日曜はね、フットサルの試合があるんだよ。だから、さー」


私と遊ぶという意味ではないかもしれないから、来ること自体を拒否ったりはしない発言をした。

だけど、紘人の“行く”の意味は、私と“遊ぶ”という意味だったのが、直後の発言ですぐに分かる。


『お?マジで!?…じゃあ、それ見に行く、なっ!』

紘人の、嬉々とした声が聞こた。


――そうなんだ。

こう、言われるのが見えていたから、本当のことを言うのを、私は迷っていたんだ。
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