アネモネの花
私――蒼井さな(アオイサナ)

現在、高校3年生。

大学受験勉強の真っ最中だというのに、
私のの頭の中は、いつだってサッカーのことでいっぱい。


そして、今日も――



「さーなっ!…あ。また、サッカー?」


そう、怪訝な顔で聞いてくるのは親友の橘悠紀(タチバナユウキ)


「うん」


私は机に肘をついて、目の前のサッカー雑誌をめくりながら答えた。

もちろん、目線は雑誌に向いたままなんだけど。


“カタン”と音を立て、隣の席の悠紀が椅子に座るのが聞こえた。


「本当、さなってばサッカーが好きだよねぇ」
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