アネモネの花
雑誌を一通り読み終え、悠紀の方を向くと携帯でメールを打ってる最中で…


「悠紀だっていっつも彼氏のことばっかじゃん。対象が違うだけじゃん?」

「えー違うよぉ。さなもさ、新しい恋しなよ!」

「はいはい」


私は悠紀に半ば呆れ気味の声で相槌を打ったが、悠紀はイマイチ腑に落ちない様子で言葉を放つ。


「…本当はさ、羨ましいんでしょ?」


その問いに私は、苦笑で答えた。




恋愛がしたくないわけじゃない。

臆病になってるわけでもない。


でも、今は必要がないと思う。

私の中での方程式がすでに出来上がっていたから。

“恋<サッカー”

サッカーが好きで、同じものを好きな友達と喋る方が楽しかった。

もしかすると、サッカーに恋をしていたのかもしれない…なんて。


ただ、好きなものを優先して、大切なものが壊れてしまうのが怖かったんだと思う。
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