アネモネの花
――実を言うと、今日は紘人とのちょっとした約束があった。


…と言っても、“紘人の用事”と言った方が正しいんだけど。

試合が終わったら、紘人の買い物に付き合うことになっていた。


それは、数週間前の電話での会話に遡る――



買い物――

紘人の“スパイク”買い。

元の発端は、愛用のスパイクが地元で探しても見つからなかったこと。



隣の県まで探しに行き…

『さすがに埼玉県に入った時は焦って戻ったけどね』


紘人は溜息まじりに苦笑して言った。
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