雪花の唄【詩集】
雲が鈍色に抱かれる夜
私は空を眺めて、雪待ち
こんなに寒い夜ならば
想う心は泣きつつも
離れた君に寄り添えるかと
私は空を眺めて、雪待ち
細い三日月 頼りなく
霞むは睫毛に湿る薄霧か?
―― けれど
君を待つ日に比べれば
寒くはないと強がるも
ふと舞い降りる初雪に
いとも 容易く溶け出して
それは さながら 天の許しのようで
あるいは 仏の慈愛のようで
―― 嗚呼、なんて美しいのでしょうか
【 雪待ち 】