キミは私のモルモット
両親が共働きで、高校時代から夕飯の支度をしている私は、せっかく作った食事を食べてもらえない時の気持ちを知っていた。

『食べないなら、連絡くらいしてよ。わかってれば作らなかったのに!』

弟と何度けんかをしたことか。

だから、彼がまめに母親に連絡を取ることに、好感を持っていた。

「お母さん、まだ準備してなかったって?」

「ああ、大丈夫だった」

「そう、よかったね」

私がそう言うと、篤もにっこりっ微笑んでくれた。



この頃はまだ、何の疑いも持っていなかった。



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