キミは私のモルモット
「あの、真山君、お宅へお母様を送るんじゃないの?」

友人として紹介されたからには、篤、とも呼べず、他人行儀に確認すると、

「ああ、先に君を送るよ。母は今日、友人と食事してくる予定だったんだけど、キャンセルになったそうだから」

だから、デートはなし、ということらしい。

「……ありがとう」

送ってもらうんだから、お礼は言わないとね。

釈然としない気分のまま、家の前で降ろしてもらい、走り去る車を見送った。

その夜、当然あると思っていた、篤からの電話もメールも、なかった。



なんか、ちょっと普通じゃないかも、と思い始めたのは、この日からだった。


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