一回、スーパーマン!
①一人目
モノレールのホームで





ホームにモノレールが

入ってきて、

おかあさんと

小さな男の子が、

降りてきた。





乗り込む時、わたしは

すれ違いざま

男の子の顔に



ちょうどその高さで担いでいた

旅行バッグを



「ぼんっ!」



当ててしまった。





男の子は一瞬ゆらり振れて



でもそのまま

普通にこっちをみた。





「ゴメンねっ!」



とこちらが慌てるのに

ただ

コクンとうなずくだけ





(平気、なの?)



どきどきした

あんなに小さい子



(なんで、泣かないの?)



(なんで、すぐ許せる?)





やりとりを黙ってみていて

やっぱり

笑ってうなずいた

許したおかあさんにも



ドキドキ



した





(なんで怒らずいられますか)





どきどき、した。



スーパーマンのおかあさんは、

やっぱりスーパーマンで。


スーパーウーマンで。



ドキドキ、した。



どきどき、



した。
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